
昨年より、短歌の学習をしている。
ざっくりいうと
たった三十一文字の中でイメージの世界を膨らませ作者とともにその世界を共有したり、作者が思い描いてなかったことを自分の生活に落とし込み、自分のこととして深く味あうことができる文学に魅了されたからだ。
読者として読んでいくのも楽しいが、自分の読解力では理解できない短歌もある。
- 短歌のよさをもっと知りたい
- 「次世代短歌会」というところ
- 体験しよう「AI共創短歌」
- なんとAI評で「入選に値する」と選ばれていたことがあった。 かつて
- 何のために短歌を読んだり、詠んだりするのかなぁ
短歌のよさをもっと知りたい
そこで、自分でも実際つくってみようというのが始まりだったように思う。
皆さんの目にする短歌は、「あー、わかるわかる!これなら自分でも作れそう」
というものではないか。
しかし、「わかる」とは読者に「通じる」ということなのだ。
この、「通じる」ということが難しい。
自分の観念の中だけでつくると
「は?」「だから?」
になるのだ(ほとほと経験済み)
つまり、独りよがりの短歌は通じない。
同じ母国語を持つ者同士、この思いが届かない。
自分の国語力やセンスのなさに絶望すら覚える。
悲しい。
人と比べるのはいけないと重々承知だが、若くて、センスと学力高めのバケモノのような人がネットには、うじゃうじゃいて萎える。
センスだけで片付けるのは失礼なので、そのバケモノのような方の努力は知っているつもりです。
それはそれは、淡々と何千という短歌をつくり、そのほんの一部を公開されているようなので。
はい、私の努力不足も認めます。
「次世代短歌会」というところ
深水英一郎さん主催の「次世代短歌会」という場をお借りして、お題に沿って短歌をつくったり公開したりして勉強をしている。
先日、公開した「映画短歌空間」もその中の一つだ。
体験しよう「AI共創短歌」
「次世代短歌会」の中のひとつの試みとして、AIとの共創という実験がおこなわれている。
以下、短歌マガジンより
実際、私がやったこと
ステップ1 「短歌の種」をAIに渡す
短歌投稿サイト「うたの日」でどんまい!をとった歌を渡してみた。
「うたの日」は、選歌する時一人一票の❤がおくれる。
そのほかで好きと思った歌に♪は何首でもおくれるというシステムだ。
そこで、❤も♪も一つもつかない歌に、サイト主の方がはげましの「どんまい!」を書いてくれる。
すなわち、その部屋で誰からも見向きもされなかった、伝わらなかった歌ということだ。
自慢じゃないが、この一年で数えるのも精神的にきついので数えないが、山のようにあることは間違いない(慣れてきた自分が憎い!)
お題は『財』
短歌は
財産をのこさぬように使いたい でもいつまでも元気そうだが/水の眠り
ね、意味不明でしょう。同調を求む。
たしかに、どんまいのはずだわ。
でも、これでAIがどんな風に読み取り短歌のようなものをつくるか知りたい。
AIよ、いざ、ポンコツと勝負だ。いや、共創だ。
ステップ2 AIが「短歌のようなもの」を出力」
AIが出力してきたものがこちら
① この世に金だけでは生きる価値無くても 愛が欲しいから死ぬ気で生きろ
② 人の幸せに嫉妬するくらいなら その分を俺によこせと叫んでみたよ
③ 貧しき人の涙も知らず 富める者は悠々自適 欲深いこの世は金持ちのために在るのか
④人生最後の日 手にしたるは形無き富 お金は残さず死んだが悔いはなし
⑤ 欲望に目がくらんでお金の力借りて 得たものは砂の山だったんだね
⑥ 欲しいものがすべて揃ったら 人はそれで幸せなのか
⑦愛情よりお金を大切に生きてきましたが 最後はお金が裏切りました
⑧手にした財 使いきれない分は分け与えよう 誰かのためになる方が良いだろうから
⑨ 金がないことのほうが気楽な世の中に生まれたら 今頃僕はもっと自由に過ごせるだろうに
⑩お金を稼いで使いまくった人生の末路は 残されたのは後悔ばかりという事
短歌の種としてなげたものが、『財』だったのでお金というダイレクトな生活感が出てきて詩情とは縁遠い言葉の数々。
そこまで銭ゲバのつもりはないのだよ、エイアイー。
生きていく上で大切なお金だが、詩情と結びつけることの難しさを感じる。
これを、元に短歌をつくるのは人間の私なんだが、どうしようか…
ステップ3 人間が仕上げて短歌を完成させ、投稿
上記のAIが出力してきたものの中から、三首選んで人間である私が短歌を仕上げる。
〈短歌)桜桃の花の季節はひとときの宴のごとくさみどりに継ぐ/水の眠り
⑧手にした財 使いきれない分は分け与えよう 誰かのためになる方が良いだろうから
〈短歌〉白い花小さな手からこぼれたらいっしょに持とうキミとゆく道/同上
⑨ 金がないことのほうが気楽な世の中に生まれたら 今頃僕はもっと自由に過ごせるだろうに
〈短歌〉海原に漕ぎだす船の荷物などないほうがいい星をたよりに/同上
と、つくってみた。
ここまでできたら、投稿して人間選者の選評を待つ。
なんとAI評で「入選に値する」と選ばれていたことがあった。 かつて
第5回毎月短歌AI選評v01(monthly07_theme_AI_comments)
163首中5首の入選予備軍にAIから選ばれていた。 かつて
【選ばれた短歌とAI評】
バイト先胃袋しっかりつかまれて怖い女将に辞めると言えずに/水の眠り
まず、この短歌は「食」というお題を非常に独創的に扱っています。一般的なアプローチは、美味しそうなお料理やお菓子、あるいは季節の食材を取り上げることですが、この短歌は飲食業の現場における「胃袋」という視点を採用しており、そのユニークさはまず目を引きます。また、「胃袋」の表現自体も印象的で、バイト先の女性店主が客を惹きつけ、離さない強さを巧みに捉えています。
さらに評価すべきは、「怖い女将に辞めると言えずに」という表現です。このフレーズが持つユーモアは、作者の状況の苦しさと、それを客観視する冷静さがうまくミックスされているからこそ生まれているものです。「怖い女将」はバイトを辞めたいと思っている作者にとって大きな壁であり、「胃袋をつかまれた」状態は比喩として非常に的確です。しかし、作者は自分の「辞める」という弱音を店主に対して言えずにおり、それがさらに事態の難しさを増幅させているのです。
したがって、水の眠りさんの短歌は、独創性が高く、表現や内容も巧みであると評価できます。「食」を扱っているにもかかわらず、その視点やアプローチが斬新であり、しかもそれを非常に的確な言葉で表現しています。この作品が入選作に選ばれるべきであることは明らかです。
AIありがとう!
自尊感情さえも落ちに落ちているところ、よくぞ評価してくれた。
しかも、私の言いたいこと(歌意)すべてすくいとってくれて…(涙)
「入選歌を選べ」という指示を出していないのに(AI製作者が)AIが勝手に入選に選ばれるべきであることは明らかです。
だなんて、嬉しいー!
反面、ん?ってなった。
だって、その月の人間選者には誰一人として見向きもしてもらえなかったのである。
おい!
何のために短歌を読んだり、詠んだりするのかなぁ
好きな短歌に出会ったら、口に出して読みたくなったり、心の奥底で眠っていた感情が沸き上がったりすることがある。
それは、私にとって生活を豊かにしてくれるのだ。
自分で作る短歌は、その時の事象の記録。心象の記録のようなものだと思う。
もちろん、誰かに読んでほしい、認めてほしい、ほめてほしいという気持ちはある。
承認欲求という人間の正しい心の在り方だと思っている。
AIがどれだけ学習をして素晴らしい短歌を詠んだとしても、生身の私のような平凡な人間が詠んだっていいのだし。
そういうところを研究してらっしゃる方も何人もいらして、考察はその研究者の方々にお任せしたい。
そのお一人は、中島裕介さん
第41回現代短歌評論賞を受賞された論文がこちら↓
「〈前衛〉と実作―生成AI時代に、人が短歌をつくること」が発表されている。
なんとか人間に選ばれたーい‼